第 54 回目は《 データファイル/動物 》の御紹介です🍀
【 すばらしき野生の王国 】
クラウンクマノミ
熱帯の浅瀬に住む
おどけた道化師
サンゴ礁の上に広がる、イボハタゴイソギンチャクのカーペット。その触手の陰から見物人をからかうかのように顔をのぞかせているのは、色鮮やかなクラウンクマノミです。イボハタゴイソギンチャクの触手には毒があり、ほかの魚であれば、かなり痛い目に合っているのは間違いないのですが、クラウンクマノミには免疫があるので、敵から身を守るのに打ってつけの逃げ場なのです。目にも鮮やかなクラウンクマノミの名は、英語で《 道化師のクマノミ 》を意味します。体の色が派手で、ピエロの服そっくりの模様があるうえ、もたついた泳ぎ方をすることが多いからです。またクラウンクマノミは、《 性転換 》をするという点でも面白く、オスは性を変えて、メスになる能力があるのです。
🌍 理想的なパートナー
クラウンクマノミは、ふつうひとつのイソギンチャクに家族単位で住んでいます。かれらは、イソギンチャクの粘液をウロコに塗りつけることで、触手の毒に対して免疫となっています。そのため、イソギンチャクは、クラウンクマノミを自分の体の一部だと思い込んでしまいます。つまり、触手の刺胞( しほう/ 1 )に何かが触れたとき、毒を注入するための刺糸( しし/ 2 )を自動的に発射するしくみが、はたらかないのです。クラウンクマノミとイソギンチャクは、一緒にいることで、お互いに得をしています。イソギンチャクは、泳ぎの下手なクラウンクマノミを守るかわりに、食べこぼしのエサを手に入れます。また、クラウンクマノミはイソギンチャクに寄生する生き物を食べます。そのうえ、クラウンクマノミがヒレをヒラヒラさせると水がかきまわされ、イソギンチャクに酸素を供給することにもなります。
1.刺胞( しほう )/刺胞動物の刺細胞でつくられた細胞器官です。
2.刺糸(しし)/刺胞動物の刺細胞内に収められている中空の糸状物で、刺激によって他動物に射出し食物の摂取や防御などに役立てます。
~コトバンクより~
🌍 残り物を食べて生きる
クラウンクマノミの主な食べ物は、プランクトンや、たいていの海水中でふつうに見られる微生物、イソギンチャクのまわりで育つ藻類です。そのほか、変態する海の生き物の幼生や小エビ・小魚、あるいはイソギンチャクが食べ残したものもエサにします。イソギンチャクは、刺胞のある触手で獲物を捕らえ、自分の口に運んで食べています。
クマノミは、たとえ1日でもイソギンチャクの触手から離れていると、毒への抵抗力を失ってしまいます。
🌍 性を変える
クラウンクマノミは、すべてオスとして生まれます。その体の中には、メスになるために必要な生殖器官がひそんでいます。ひとつのイソギンチャクに住むクマノミの群れのうち、唯一のメスが死んでしまうと、いちばん強いオスがメスになります。そして、それまで弱いオスだったものの一匹が、いちばん強いオスに格上げされます。この独特な方法によって、クマノミの群れは、イソギンチャクという安全な隠れ家で生き続け、子孫を残すことが出来るのです。
メスが卵を生む直前、オスたちはいつもより攻撃的になり、背・尻・腹のヒレを広げてほかのオスを追いまわしたり、かみついたりします。産卵床を選ぶのも、オスの役目です。ふつうは、近くにあるむきだしの岩が産卵床となりますが、なんとイソギンチャクの口の中に卵が産みつけられることも多いのです( 卵はイソギンチャクの粘液におおわれているため消化されません )。オスは、目星を付けた場所から藻を取り除くなど、時間をかけて掃除し、メスが卵を産めるよう準備します。メスはそこに卵を産み、あとからオスが精液をかけ、受精卵になります。卵の世話をしたり、守ったりするのは、オスの仕事です。
卵を守るクラウンクマノミのオス。
クラウンクマノミ
( Clown Anemonefish )
分 類/スズキ目
科 名/スズメダイ科
属 名/クマノミ属
学 名/Amphiprion percula
クラウンクマノミは、海底に住むイボハタゴイソギンチャクのなかに見られます。クィーンズランド州( オーストラリア )北部・太平洋西部の熱帯の海域、インド洋、紅海で、温暖な浅瀬に暮らしています。
生息域/海、海洋
行動単位/つがい
体 長/6~8cm
体 重/30~50g
性 /雄性先熟する雌雄同体:オスとして成長しますが、メスに転換することもある
性成熟月数/数か月
繁殖時期/通常は4月ごろと10月ごろの年2回
孵化までの期間/6~7日
1回の産卵数/100個を越える
繁殖間隔/数か月
主な食べ物/プランクトン・藻類・変態する海の生き物の幼生・小エビ・小魚
寿 命/3~5年
あざやかなしま模様
クラウンクマノミの成体は、あざやかなオレンジ色で、3本の白いしま模様が入っています。中央のしま模様は、前に突き出たような形になっていることが多いです。幼体はしまが2本しかありません。尾の部分のしまは、成長すると出てきます。
3本の白い帯
しま模様が3本あれば、成体であることが分かります。
体の表面
イソギンチャクの刺胞から身を守るために、イソギンチャクの粘液を塗りつけています。
クラウンクマノミの仲間たち
クマノミには28種あり、どの種も、1種もしくはそれ以上の種類のイソギンチャクと共生します。クマノミと共生するイソギンチャクは10種類です。クマノミは、サンゴ礁の海底に住む魚のなかでも、特に色鮮やかなスズメダイ科に属しています。クラウンクマノミによく似た種としては、インドからマレーシアの海域に住むカクレクマノミ( false clown anemonefish )がいます。
クマノミは、ブダイ( parrotfish )やチョウチョウウオ( butterflyfish )と同じスズキ目の魚です。
ルリスズメダイ
神話? それとも実話?
クマノミは、自分が住みかとするイソギンチャクのためにおとりになる、と広く信じられています。つかまえやすいエサを必死に探している大きな魚が、クマノミにつられて寄ってくるので、十分に近づいたときにイソギンチャクが触手で魚をつかまえて食べてしまうと考えられています。しかし、実際に魚を殺せるのは大きなイソギンチャクだけであり、その魚も小さなものに限られます。イソギンチャクの刺胞は、敵から身を守り、おもな食料源であるプランクトンを捕らえるためのものです。
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じーっと眺めていたら( 印刷物ですが )、縞模様が可愛く見えてきました。真正面から見ると、スカーフを巻いているみたいで、お洒落な魚ですね。
性転換をすることには驚きましたが、魚なのに泳ぐのが下手なのは何故なのでしょうか?
Sakuya ☯️
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