羽音をたてずに飛ぶ鳥/entry73

第 73 回目は生物の御紹介です。


【 すばらしき野生の王国 】🍀


ワシミミズク 鳥類

さっと舞い降りて命を奪う
  夜のハンター

 大きくてたくましい体、オレンジ色の鋭い目、そして獲物の肉を引きちぎるかぎづめとくちばしーーー。ワシミミズクは、闇夜には絶対に出会いたくないと、ほかの動物からも恐れられています。ノスリのような猛禽類でさえ、ユーラシア大陸に暮らすこの鳥のかぎづめの餌食となります。また、すっかり成長したキツネまで運んでいたワシミミズクもいたそうです。


🌎 群れをつくらずに暮らす
 ワシミミズクは、たいてい群れをつくらずに暮らし、なわばりを必死に守っています。なわばりの広さは地域によって、また、そこでどれだけ獲物が得られるかによっても異なり、山地や砂漠では、森林よりも広い狩り場がなくてはなりません。繁殖中のつがいは同じなわばりでいっしょに暮らしますが、ふつう繁殖期以外は、たがいを避けて暮らします。昼間は、木の上や岩棚で休んでいますが、ほかの鳥に見つかると、集団で殺到されたあげく、追い払われてしまいます。夜になると、ワシミミズクは狩りに出かけますが、そのまえに大きな声で鳴き、つがいの相手やライバル、近くに暮らすワシミミズクに、自分は健康でここにいるぞとアピールし、つがいの相手もいっしょに鳴きます。近くにいるはずの仲間がまったく返事をしなかったり、鳴き返してきても弱々しかったりする場合があります。

獲物が大きくて一度に食べきれなかったときは、埋めておいて、あとで食べにくることもあります。


🌎 絶好の獲物
 ワシミミズクはエサの選り好みをしません。自分より体が大きくないもので、手に入る獲物ならば、昆虫やクモ、ノウサギ、子ジカなど、なんでも食べてしまいます。ネズミやウサギ、カラスのほか、ノスリチョウゲンボウまで、ありとあらゆる哺乳類や鳥類を食べます。かれらが獲物を狙うのは、たいてい開けた場所ですが、木が生い茂った森で獲物を捕らえることもあります。獲物をさがして飛びまわる場合もたまにありますが、ふつうは岩や木の上に止まったまま、目と耳で獲物をさがし、獲物を見つけると、かぎづめのついた脚をいっぱいに伸ばしたまま、さっと舞い降りて跳びかかります。その衝撃だけで獲物が死んでしまうことも多いのですが、まだ生きている場合には、止まり木や岩の上へ持ち帰り、くちばしの強烈な一撃で背骨を切断するか、頭蓋骨を砕いて仕留めます。小さい獲物なら丸飲みにしますが、大きなものは引きちぎって飲み込みやすい塊にして、食べられない部分は捨てます。ハリネズミの皮も、たやすくはがしてしまえます。

ワシミミズクは羽音をたてずに飛ぶので、獲物に気づかれずに捕まえられます。


🌎 数は減っているが絶滅には至っていない
 19世紀から20世紀はじめにかけて、ヨーロッパではワシミミズクが急激に減りました。ワシミミズク自体が狩りの獲物になっただけではなく、狩猟用の小動物を襲うからという理由で、猟場に暮らすワシミミズクが退治されることもあったからです。また、猛禽類の剥製( はくせい ) おとり として竿( さお )につけて立てると、ほかの鳥が群がってくるため簡単に狩猟ができるのですが、この剥製をつくるために殺されたワシミミズクも多いのです。1950年代には、農薬の有害物質により、さらにワシミミズクの数が減りました。
1940年代のスウェーデンには、450組のつがいがいましたが、材木をパルプに加工するため用いられていた水銀によって、中毒死するワシミミズクが多かったので、1970年代なかばには、170組にまで減りました。
 ワシミミズクは現在、たくさんの国々で厳重に保護されていて、飼育下で繁殖させ、自然へ返す運動もドイツやスカンジナビア地域などでおこなわれています。しかし密猟や、卵の違法な採集、および生息地の消滅により、ワシミミズクが今なお減り続けていることに変わりはありません。


🌎 ヒナを守り育てる
 冬が終わりに近づくと、若いオスのワシミミズクはくり返し鳴き、メスの気をひこうとします。オスとメスは一度つがいになると、死ぬまできずなを保ちます。メスは、2~4日の間を置いて、いくつかの卵を産みます。産卵場所になるのは、木の根本にできた空洞や岩棚、廃屋、ほかの大きな鳥の古巣など、安全な場所です。メスが卵を温めるあいだ、オスがエサを運びます。綿毛におおわれたヒナは生後1週間まで目が開かず、少なくとも生後2週間までは立つこともできません。母鳥が4~6週間にわたってヒナを抱いて温めるあいだじゅう、オスがメスとヒナたちにエサを運びます。エサが少なければ、いちばん早く生まれたヒナだけが生き残り、遅く生まれたヒナは食べられてしまうのです。6週間後、生き残ったヒナたちは巣の外を探検しはじめ、さらに2週間たつと飛びはじめます。それからも両親にエサをもらって暮らしますが、1か月後、若鳥は飛び立って自分のなわばりをつくります。

生まれてから何週間もたっていないヒナを残して母鳥が巣を離れることは、めったにありません。


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 太くて頑丈な脚をしてますね。かぎづめも長くて鋭いですし、この脚ならすっかり成長したキツネも運べるかもしれません。
  Sakuya ☯️