第4回目は生物の御紹介です。
【 すばらしき野生の王国 】🍀
アマミノクロウサギ 陸生哺乳類
南の島にひっそりと暮らす
原始的なウサギを求めて
黒っぽい小柄な体つきで目も小さく、耳も脚も短いアマミノクロウサギは、世界で最も古い起源をもつとされている原始的なウサギです。鹿児島県の奄美大島と徳之島だけに暮らす珍しい生き物で、その昔、奄美大島と徳之島が大陸と陸つづきだった頃にやってきたと考えられており、本州に暮らすノウサギとは異なる点が多くあります。
🗾いろんな声で情報交換
アマミノクロウサギはもっぱら単独で生活しており、行動範囲はオスの場合1~2ha、メスで1ha ほどです。アマミノクロウサギはシイやカシなどがうっそうと茂った原生林や2次林( 伐採や山火事などで原生林が破壊されたあとにできる森林 )、海に近い林に住んでいます。ほぼ夜行性で、昼間は岩の隙間やウロ( 樹木の内部にできた空洞 )、あるいは土に掘ったトンネル状の横穴の中で休んでいます。飼いウサギとは異なり、いろいろな声で頻繁に鳴き交わします。声の高さや鳴く回数で、仲間と情報交換をしているのではないかと思われます。また、天敵のハブに襲われる危険が少なく、よく日の当たる見晴らしの良い林の外れで、まとめて糞をします🌱
普通のウサギより脚は短いですが、急な斜面でも素早く駆け回れます。
🗾お母さんといっしょ
アマミノクロウサギの繁殖シーズンは、4~5月と10~12月の年2回だと考えられています。メスは、ふだんの巣穴から離れたところにある土手の斜面などに、子育て用の巣を新しく掘ります。1回の出産で1~3頭の子供を産みますが、普通は1頭のことが多いです。生まれたばかりの子供は体重100㌘ほどと小さく、丸裸で目も見えません。子育てをするのはメスだけで、メスが子育て用の巣から出るときには、かならず穴の入口を土で埋め戻し、しっかりと押し固めたうえ、枯葉をのせて隠したりもします。母乳を飲んで育った子供は、生後2ヶ月ほどで巣の外へ出てきますが、巣穴を出てからも、しばらくの間母親といっしょに暮らします🌱
母親が子育て用の巣穴に戻り、子供に乳を与えるのは、2日に一度くらいしかありません。
🗾平和な島に強敵現る
原始の姿をそのまま残すアマミノクロウサギは、きわめて珍しい動物です。昔は天敵といえばハブしかいませんでしたが、いまでは島の外から持ち込まれたマングースやイヌ・ネコのせいで、命を落とすアマミノクロウサギが多いのです。そもそもマングースは、ハブ退治用に島へ放たれたものです。しかしマングースは昼間にエサをさがし、ハブは夜に動き回るので、あまり出会うことがありません。そのため、マングースは捕らえやすいアマミノクロウサギを襲うようになってしまったのです。また、森林の伐採や観光開発も、かれらの生存をおびやかしています。1921年、アマミノクロウサギは日本の天然記念物第1号に指定 され、1963年には、特別天然記念物に昇格 しましたが、数が増えたとはいえません。環境庁( 現在の環境省 )の発表( 2000年 )によれば、アマミノクロウサギの数は2,600頭~6,200頭と推定されています🌱
奄美大島でのゴルフ開発の差止めに向けて、アマミノクロウサギを原告とする裁判が提訴されたことで、希少な動物たちが一躍脚光を浴びることになりました。
🗾植物の豊富なメニュー
アマミノクロウサギは植物性のエサを食べますが、その種類は季節によってさまざまです。ススキなどの草の葉や茎・芽・花・根のほか、シイの実のような木の実や葉・くだもの・樹皮といったエサも食べます。また、ほかのウサギや一部のネズミと同じように、自分の糞も口にします。ただし、実際に食べているのは普通の糞ではありません。未消化の食物を盲腸で発酵させたもの( 盲腸便 )です。盲腸便には、脂肪酸やアミノ酸・ビタミン・ミネラルなどが豊富に含まれています。アマミノクロウサギに限らず、ウサギの仲間はみな、肛門に口をつけて、緑色の柔らかい盲腸便を食べます。こうすることによって、腸内細菌も受け取り、食べた物の栄養を利用できるようになります。逆に、盲腸便を食べなければ消化吸収がうまくいかず、痩せてしまうのです🌱
アマミノクロウサギ( Amami Black Rabbit )
分 類/ウサギ目
科 名/ウサギ科
属 名/アマミノクロウサギ属
学 名/Pentalagus furnessi
生息域/森林
/ススキの多い草原など、
開けた場所
/林に近い海岸
生息状況/絶滅危惧種
体 長/35~55㎝
耳 長/約4㎝
体 重/1.3~2.7㎏
習 性/ほぼ夜行性
繁殖時期/4~5月と10~12月
一回の出産数/1~3頭
( 通常は1頭 )
主な食物/植物の葉や茎・根・花・果実
寿 命/不明
・耳が他のウサギと比べて短い。
・目が小さく、視力はあまり良くない。
・鼻づらが長めで嗅覚が鋭い。
・上あごの奥歯は、左右5対( 全部で10本 )しかない。
他のウサギは6対( 12本 )の奥歯をもつ。
・ふさふさのコートの様に、
ふさふさとした毛に被われている。
色は黒っぼいこげ茶色か、
灰色がかった濃い茶色。
腹部の色はやや薄い。
・尾は短く、外からはほとんど見えない。
・前脚も後脚も短い。
・前脚の爪が丈夫で大きく、
長さ2㎝にもなる。
鋭い爪は、穴を掘るのに適している。
アマミノクロウサギの仲間たち
アマミノクロウサギは、アマミノクロウサギ属に含まれる唯一の種類です。同じウサギ科の動物には、ニホンノウサギ( Japanese hare )やユキウサギ( Artic hafe )のほか、飼いウサギの原種であるアナウサギ( Euro-pean rabbit )などもいます。ニホンノウサギは日本にしかいない種で、本州以南の各地に住んでいます。ユキウサギはアラスカやカナダ・ロシア・グリーンランドのほか、北海道にも暮らしています。
エゾユキウサギ
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アマミノクロウサギの実物は見たことありませんが、卯年生まれなので親近感を抱きます。
Sakuya☯️
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*データは2005年頃の物です。