第49回目はデータファイル( 動物 )の御紹介です🍀
【 すばらしき野生の王国 】
ウマヅラコウモリ( 陸生哺乳類 )
ブーブーと鳴く、熱帯アフリカの
大きなコウモリ
オスのウマヅラコウモリの奇怪な頭と胸は、音を出すために、それもさかんに音を出すためにとくに発達したものであり、風変わりな求愛の儀式の際、大声で “ 歌う ” のに役立ち、オスたちは「 レック 」と呼ばれる求愛場所で競い合います。
交尾の相手として選んでもらおうとレックに集まり、そこへ訪ねてくるメスたちにディスプレイをして見せるのです。一方、メスの姿はオスとはまったく異なり、同じ種とはすぐには信じがたいほどです。
🦇 昼間は居眠り
ウマヅラコウモリは、アフリカにある生息地一帯では最大のコウモリです。このコウモリは夜行性で、昼間はねぐらで眠っています。ねぐらは、地上20~30mの高さの枝( ふつうは、葉の茂る森林の中層部 )か、場合によっては洞穴( どうけつ )の中にあります。ねぐらでは、単独か、あるいはゆるやかな関係の集団(同性だけの場合もあれば、オス・メスが入り交じっている場合もある)で眠ります。
一年の大半は日没とともに食べ物をさがしに出ますが、乾季には、おとなたちはまずレックに集まり、その後採食に移ります。
ねぐらでのウマヅラコウモリは、忙しく果実をさがす夜の活動に備えて、眠ったり翼の手入れをしたりします。
🦇 奇妙な歌声
ウマヅラコウモリがおこなう求愛行動は、鳥類のあいだでは珍しくありませんが、哺乳類としてはほとんどほかに例がありません。おそらくこれは必要性から発達してきたものと思われます。果樹は森の中でとくに規則性もなく生えていますので、ウマヅラコウモリのオスは確実な食物源のあるなわばりを守るということは望めない、つまり家族を養えないということです。また、ウマヅラコウモリのメスには群れ集まって暮らす習性はありませんので、メスの集団を守るということもできません。そこで自分の遺伝子を伝えるための次善の策として、ほかのオスと競い合ってできるだけ多くのメスと交尾しようとするようになったのです。オスは、異様に発達した喉頭( こうとう/発声器官 )が生み出す “ 歌声 ” によって、目的を達成するというわけです。
🦇 オーディションに合格
交尾期のオスは毎晩ねぐらを出てレックに向かい、レックの中に好みの場所を見つけると、そこで歌いはじめます。その鳴き声は、大きくて耳ざわりで、切れ目のないしわがれ声です。この声は両性を引きつけ、常連の “ 歌い手 ” のまわりにはすぐに小さな輪ができます。やがて、メスたちもやって来て、歌っているオスたちの前で停止飛行( ホバリング )をします。するとオスは翼を激しく羽ばたかせ、鳴き声は速さを増して、「 ブッブッ 」という歯切れのいい音に変わっていきます。メスは自分が選んだオスの隣に止まってそのオスと交尾し、またどこかへ飛んでいってしまいます。半年後、ふつうは1頭の子供が生まれます。子供は母親の胸にしがみつき、翼で守ってもらいながら乳を吸います。オスの子供はすぐに体重が増えますが、このコウモリならではの独特な頭部のつくりが目立ってくるのは、生後1年を過ぎてからです。
🦇 ウマヅラコウモリは枝から枝へとひらひら飛びまわり、好みの果実のところに止まります。
ウマヅラコウモリのメス
🦇 みずみずしい果実
ウマヅラコウモリは、果実の柔らかい部分だけを食べます。これはすぐにエネルギーに変わる食べ物ではありますが、森の中では簡単には見つからないことの方が多いです。オスは、一晩で最長10kmもの距離を飛びーーーオスが飛ぶ距離はたいていメスが飛ぶ距離よりも長いーーー、レックでのディスプレイをもちこたえられるよう少しでも栄養価の高い果実をさがします。かれらの好物は、野生のイチジクやマンゴー・バナナなどですが、手に入るなら、栽培されている果実も喜んで食べます。かれらは果実をもぎ取り、止まれる場所に運んでから果汁を吸います。ですが、果実がとくに大きい場合は、その場で食べることもあります。種子や殻は吐き出して森の地面にばらまきます。つまり、ウマヅラコウモリは、種子を撒き散らすという重要な役目も担っているのです。
ウマヅラコウモリは、親指の爪で果実をしっかりつかみます。
ウマヅラコウモリ
( Hammer-Headed Fruit Bat )
分 類/コウモリ目
科 名/オオコウモリ科
属 名/ウマヅラコウモリ属
学 名/Hypsignathus monstrosus
生息域/熱帯林
/湿地・マングローブ( ※ )地帯
※ マングローブは、熱帯・亜熱帯地域の河口汽水域の塩性湿地に成立する森林のことです。紅樹林( こうじゅりん )または海漂林とも言います。世界では、東南アジア・インド沿岸・南太平洋・オーストラリア・アフリカ・アメリカ等に分布し、日本では沖縄県と鹿児島県に自然分布しますが、本州にも人工的に移植された場所があります。
~ Wikipedia より ~
ウマヅラコウモリは、サハラ砂漠以南の帯状の地域に生息しています。セネガルから、東はエチオピア南西部まで、南はザンビアやアンゴラ北東部までの一帯です。
行動単位/一定しない
体 長/19.3~30.4cm
翼 幅/最長90.7cm
体 重/234~420g
移動性/移動はしない
生息環境/ねぐらは大部分が樹上
活 動/夜行性・薄暮性
性成熟月数/オス:18か月
/メス:6か月
交尾期/通常6~8月と12~2月
妊娠期間/約6か月
1回の出産数/1頭( まれに2頭 )
繁殖間隔/約6か月
主な食べ物/森の果実
寿 命/飼育下で20年
記録的な大きさ
下のイラストに見るように、オスの胸は樽のようにふくらみ、鼻づらも太いです。これは、メスとはまったく異なります。また、体の大きさも、オスのほうがはるかに大きいので区別がつきます。
・視覚がすぐれていて、夜でも物がよく見えます。
・大きな鼻づらには太い鼻腔( びくう )が収まっています。また、鼻づらの両脇には大きな頬袋( ほほぶくろ )があります。オスは、この鼻腔と頬袋で、鳴き声を増幅します。
・鼻孔( びこう )は2つで、顔の正面に、鼻筋が長い巻物のような形に通っています。嗅覚( きゅうかく )は鋭いです。
・胸郭(きょうかく)は、骨でできた大きな喉頭(こうとう)でほぼいっぱいです。
・翼は、長く伸びた “ 指 ” と前腕の骨のあいだに張られた皮膚の膜です。
整った顔立ち
メスの鼻づらは、先のほうがすっきりと細くなっています。メスは大声で鳴くようなことはしないので、頭部は必要以上に発達していません。
ウマヅラコウモリの仲間たち
ウマヅラコウモリ属は、40以上の属からなるオオコウモリ科の一員です。オオコウモリ科は、いずれの種も赤道上あるいは赤道近辺の暑い地域に暮らし、夜に果実を食べます。オーストラリアオオコウモリ( little red flying fox )とメガネオオコウモリ( spectacled flying fox )は、オーストラリアの一部地域の森に暮らしています。
オーストラリアオオコウモリ
神話? それとも実話?
西アフリカのシエラレオネの昔話には、「 ボーマン 」という名の悪魔が出てきます。ボーマンは夜になると鳴き声をたてて村人を怖がらせるので、村人たちは鍋を叩いて大きな音をたてて追い払うという。
本当の鳴き声の主は、ほぼまちがいなくウマヅラコウモリだろう。
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大きな目は可愛いいのですが、名前の響きがよろしくないですね。もう少しましな名前は考えつかなかったんでしょうか。
Sakuya☯️
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