耳のような飾り羽/entry74

第 74 回目は《 羽音をたてずに飛ぶ鳥/entry73 》の続きです。

 

 

ワシミミズク( Eagle Owl )

分 類/フクロウ目

科 名/フクロウ科

属 名ワシミミズク

学 名/Bubo bubo

 

ワシミミズクは、北アフリカやヨーロッパ中部と南部、スカンジナビア半島、ごく北のほうを除くアジア全域、シベリア、韓国、中国で見られます。インド亜大陸にもいます。

f:id:sakuyamonju:20200526212210j:plain

生息域/山地、峡谷、岩場

   /砂漠、半砂漠

   /温帯林、森林

   /針葉樹林、農地

 

生息状況/一部地域では普通

行動単位/単独。繁殖する場合はオスとメスのつがい

体 長/60 ~ 75cm

翼 幅/1.5 ~ 1.7m

体 重/1.5 ~ 4.2kg

移動性/渡りはしない

  /雌雄同色

性成熟年数/1年( ただし繁殖するのは生後2~3年から )

繁殖時期/多様( ふつうは1~5月 )

1回の産卵数/最大5個( 通常2~3個 )

抱卵日数/34~36日

巣立ちまでの日数/50~60日

主な食べ物/ネズミやハタネズミなど小型哺乳類、ウサギや鳥、爬虫類、魚、両生類、昆虫も食べる

寿 命/野生では約20年、飼育下では約60年

 

f:id:sakuyamonju:20200531164357j:plain

ワシのような鋭い目

 オスもメスも、目がオレンジ色で大きく、耳のような独特の飾り羽( 羽角/うかく )があります。メスはオスよりも体がやや大きいため、卵を温めるあいだに体重が減っても大丈夫です。

耳のような飾り羽は、音を聞く役には立ちません。ライバルに攻撃されそうなとき、飾り羽を立てておどします。

大きな目が前向きについているため、暗闇で獲物に狙いをつけ、正確に距離を測れます。

くちばしは、下向きに曲がっているので、視界をさえぎりません。

羽毛に斑点があるため、茂みや岩を背にして止まっていれば姿が目立たちません。

翼の羽毛が幅広で長く、また、ふちに細かい毛が生えているので、ほとんど音もなく飛べます。

長くて鋭いかぎづめのある力強い足指で、自分と同じほどの重さのある獲物をつかみます。

f:id:sakuyamonju:20200531170242j:plain

聴覚を助けるしくみ

 耳の前にある耳介( じかい )を立てれば、うしろの音も聞こえます。

 

 

ワシミミズクの仲間たち

 世界のワシミミズク属18種類のうち最も大きいのは、ワシミミズクと、南アフリカクロワシミミズク( Verreauxs eagle owl )です。南北アメリカ大陸のアメリワシミミズク( great horned owl )は、これよりわずかに小さいだけで、外見も住む場所も似通っています。少し離れた関係にある仲間としては、スズメフクロウ( Eurasian pygmy owl )が挙げられます。スズメフクロウは、世界で最も小さいフクロウで、成長しても体の高さが16cm にしかなりません。

f:id:sakuyamonju:20200531172356j:plain

アメリワシミミズク

 

神話? それとも実話

 昔から、フクロウを死の前触れと見なす地域は多いようです。古代ローマの言い伝えによれば、アグリッパ将軍( 紀元前63年~紀元前12年 )ティベリウス皇帝( 紀元前42年~西暦37年 )に捕われて木につながれたとき、ワシミミズクがその木にとまり、ひとりの予言者が次のように語りました。「 アグリッパは解放されてユダヤの王となるだろう。だが、ワシミミズクを見ると死ぬ 」と。ある日、アグリッパが玉座から顔を上げると、ワシミミズクが見え、そしてアグリッパは死んでしまったという話があります。

 

 

 

データは2005年頃のものです。

 

 

f:id:sakuyamonju:20191209152721j:plain