第34回目は料理に関する書物の御紹介です。
運を呼び込む
【 神様ごはん 】🍀
著 者/開運料理人 ちこ氏
©️ tico 2015, PRINTED IN JAPAN
ごはんに《 運 》を呼び込むために
神棚を作ってみる。
朝は、お米・お酒・お塩・お水を神棚にお供えすることからはじまります。
もちろん、お下げしたお供え物は、ご神徳( 神様の恵み )をいただくために、また日頃のご加護( 神様の守り・助け )に感謝しつつ、慎んでいただいています。
お榊( さかき )は、つねにみずみずしいものを飾り、毎日、お水を取り替えています。
「 今日も、素晴らしい一日でありますように・・・・・ 」
神棚の前で祈りながら、最高に幸せな自分をイメージして、台所に入る。
“ 良い予感 ” を持つための、儀式みたいなものです。
神道では、神様をお迎えするときに《 祝詞 》を奏上( 神様に申し上げること )します。
祝詞とは、こんな表現をするとバチが当たりそうですが、わかりやすく言うと「 神様をその気にさせる 」歌です。
「 神様、愛しています。だから今日も一日、どうぞよろしくお願いします 」という具合です。
祝詞の中で、私が一番好きな言葉は「 高天原( たかあまはら )に、かむずまります 」というものです。
高天原は、宇宙・太陽・地球・人間・物質すべてを生み出す空間。意識も、エネルギーもいっぱいに満ちています。
「 高天原に、かむずまります 」は、「 “ 今、ここ ” にすべてある 」または「 “ 今、ここ ” にすべての神様がいらっしゃる 」という意味なのです。
神様は、神社やパワースポットといった、特別な場所だけにいらっしゃるわけではありません。
別に、神棚がなくたっていい。
「 ここは神聖で特別な場所 」と見立てて、そのように扱ったならば、そこが神様の降りる場所となるのです。
朝起きたら、その場所をきれいに掃除して、朝の新鮮なお水を入れたコップを置いてください。
そして手を合わせて神様をお迎えし、いい一日を過ごせる予感をいっぱいにしてみましょう。
神社に参拝する気持ちで、
台所に足を踏み入れよう。
お箸を変えてみる。
昔の人は、食事をするときに、こう言いました。
「 天地( あまつち )の恵み 箸を高く捧げて いただきます 」
これが「 いただきます 」の正式な言葉 です。
“ 箸を高く捧げて ” とあるように、お箸には人と神様をつなぐ “ 橋渡し ” の役割がありました。
お箸という名前は、《 端 》からきていて、両端のうち、口に運ぶ先は人が使い、もう片方の先は神様が使うもの、という言い伝えがあります。
おせち料理のときに使う《 祝い箸 》が、両端とも細くなっているのは、その名残。
お箸はまさに神具で、手によくなじんだお箸を使えば、自然に心持ちと所作が変わります。
お箸は、神様と一緒に使うものです。
神様と一緒にごはんを頂いている。そう思うと、自然と慎み深い気持ちになり、ごはんへの向き合い方も変わるものです。
小皿に取り分けるときも、「 神様にかわってお分けする 」という気持ちになります。
私は、竹でできたお箸を愛用していますが、良いお箸は、まるで体の一部になったかのような一体感があり、直感が働くようになります。
昔、人間は、食べ物を手づかみで食べていました。
いまでも、素手で食べると、食べ物の味がより鮮明にわかりますが、昔は手がセンサーの役目を果たしていたのだそうです。つまり、手にしたものが毒じゃないか、傷んでいないかを、手から直に( じかに )に感じ取ることができたのです。
良いお箸を使うと、そんな《 素手の感覚 》に近づけます。
良いお箸とは、まるで体の一部になったような、自分の手と口にしっくりくるお箸です。
そういうお箸を使っていると、より繊細な味がわかるだけでなく、体に負担をかけるものを食べ過ぎなくなります。良いお箸は、悪いものを遠ざけてくれるようです。
しっくりくるお箸を使えば、
感じることも、味わうこともできる。
塩おむすびをにぎってみる。
神道では、《 むすび 》という言葉は《 結び・産霊( むすひ )》とも書きます。
水素と酸素が結びついて、水となる。男女が結びついて、子どもができる。家々が結びついて、ムラやクニができる。というように、すべてのものは《 むすび 》から新しい力や命が生まれると考えます。
“ おむすび ” は、人間の右手と左手で、ごはんを握って作ります。
右手の《 ミ 》は身。物質のこと。
左手の《 ヒ 》は霊。霊的なもの。
神様が最も愛する、米と塩と水という物質に、人の手によって霊力をむすんだものが、おむすびなのです。
お茶碗だと、ごはんだけなら一膳でおなかいっぱいになりますが、不思議なことにおむすびにしたら、なぜか二膳、三膳分のごはんを食べてしまうことがあります。
そして、ちゃんとした米と思いで握ったおむすびは、いくら食べても太りません。
そういうおむすびを食べていれば、太っている人も、痩せている人も、しぜんとちょうどいい体形になっていくのです。
茶碗によそったごはんとおむすびは、別物です。おむすびは、ごはんに “ 気 ” を凝縮させて結び、新しい命にしたものだからです。
《 いのちのおむすび 》の作り方
やる気も、希望もなく、まさに人生のどん底。
そんな私の人生を変えてくれた、いのちのおむすびの作り方です。
炊きたてを握ることで、外は形がしっかりと固く、食べると口のなかでふんわり広がる、絶妙な食感になります。
《 準備 》
・炊きたてのごはん
・氷水の入ったボウル
・塩( おすすめは《 皇帝塩 》です )
一、
氷水に手をつけて冷やし、塩を手につけます。
ニ、
炊きあがってすぐ、とにかく《 熱々のうち 》に握りましょう。
熱いうちはでんぷんがのりの役割をして、外は形がしっかりと固まり、食べると口の中でふんわりと広がる、絶妙な食感になります。
三、
握るときの力加減は、強すぎず、弱すぎず、力加減を覚えていきましょう。
大切なのは、おにぎりを握るのではなく、 “ 光 ” のかたまりを握っているとイメージすること。
空から光の柱がまっすぐ自分の頭のてっぺんまで降りて、そのまま背骨を通り、両手から “ 光があふれ ” 、その光でごはんを凝縮するイメージです。
四、
次に、おにぎりの米一粒ひと粒から、まばゆい “ 光 ” があふれ出てくる( と感じる )までイメージします。
さらにその “ 光 ” の中に、おにぎりを食べた人の顔が、無邪気な子どもの笑顔になっている姿を想像しながら、握ります。
おむすびは、光のかたまり。
料理を瞑想だと思ってみる。
「 プリンに醤油をかけて食べると、ウニの味がするらしい 」
試したら、たしかにウニの味がしました。
他にも「 トマト+砂糖=イチゴ 」「 納豆+チョコレート=水あめ 」「 豆板醤+マヨネーズ=辛子明太子 」「 きゅうり+ハチミツ=メロン 」「 アボカド+醤油=マグロ 」なども、そう思えなくもありませんでした。
これらは、九州大学が開発した味覚センサーという分析器によって導きだされた《 同じ味 》。人間の舌の機能を機械に置き換えて、コンピュータで解析し、味を数値化することができるのだそうです。
“ 味は、舌の表面にある味蕾( みらい=ぶつぶつ状のもの )と呼ばれる組織で受け止められます。味蕾の中にある味細胞に食べ物に含まれる物質が作用し、味細胞の表面を覆っている生体膜の内側と外側に電位差が生じる。そして、電気が流れます。これが神経を通り脳に伝わって味を認識する、という仕組みなんです。
つまりこういうことです。私たちは味のもとになる物質を直接、感じているのではなく、あくまでも電位差によって作り出されたものを《 味 》として感じている。ずばり《 味=神経の反応 》。まさに、味はバーチャル( 仮想的 )なものなんですよ。だから、プリンに醤油をかけて食べるとウニの味がする、イクラと同じ味をつくることもできる。もとの物質が違っても、同じ電位差が生体膜に生じているので同じ味がするわけです。”
~ WAOサイエンスパークより引用
たしかに、そう。味は仮想的なものです。
そもそも脳は、すべての情報を電気信号として受けとっていて、味覚だけではなく、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・温覚・痛覚・運動感覚・平衡感覚、すべての感覚は《 数値化 》することができます。
催眠術を使えば、リンゴの味を、レモンの味に変えられたり、水をワインの味に変えたりすることもできます。
たとえば、自分の置かれた状況によっても、味覚は変わるものです。
ちょっと苦手な人と食事をすれば、どんなにおいしいはずの料理も、おいしく味わえなくなるでしょう。
逆に、心から信頼できる人や、大切な人と食事をすれば、もうそれは最高のごちそう。たとえ、その料理がいまいちだったとしても、おいしく感じます。
でも、みなさんに作ってほしいごはんは、そんな状況によって味や、感じ方が変わるようなものではありません。
感覚というものが人工的に作られるものだとしても、それでも変わらないものが、感覚の遥か彼方にあくまでもあるからです。
それが “ 意思 ” 。
“ 意思 ” とは誰の心の中にもある、悠々たる心、本当の自分のことです。
すべての人の喜びを自分の喜びとし、すべての人の悲しみを自分の悲しみとする。
私がみなさんに伝えたいのは、この “ 意思 ” に働きかける、ごはんなのです。
人間には感覚があるので、そこから快・不快の感情が生じます。
幸せか、不幸せかは、快・不快によって決まります。快が多ければ幸せだし、不快が多ければ不幸せ。実に単純です。
快の感情を増やす方法は、さまざまあります。瞑想もそうだし、ヨガや気功もそう。催眠・自律訓練法なども、そのひとつでしょう。
ただ、私が強く言いたいのは、「 それは、“ 料理 ” でもできますよ 」ということです。
家庭料理には、瞑想・ヨガ・催眠・自律訓練法、それらすべての本質が詰まっているのです。
料理を作りながら、快の感情を作って、幸せを作り出していく。
その人自身がすごく幸せで、しかも善なる思いで、まわりの人たちを心から喜ばせようとする。
そんな境地にある “ いい人 ” だけが、《 おいしい 》という感覚を越えて、食べる人の “ 意思 ” にエネルギーを送るごはんを作ることができます。
そして食べる人も、本当に幸せになれるのです。
料理から《 本当の自分 》を見つける。
ちこ/tico 氏
開運料理人。
不幸のどん底だった17歳のときに北極老人と出会い “ 食を変えると人生が変わる ” ことを悟得。声なき声を聞き、香りなき香りを聞く料理 “ ゆにわ流 ” を伝授される。
大阪府枚方市樟葉に、自然食という枠を越えた《 御食事ゆにわ 》をオープン。飲食店としては異例の「 食べたら運が良くなりました 」という声が、全国から多数寄せられるようになった。現在は《 御食事ゆにわ 》《 べじらーめんゆにわ 》《 茶肆( ちゃし )ゆにわ 》を営みながら、《 いのごはスクール 》にてゆにわ流ライフスタイルを伝授している。著書に《 いのちのごはん 》《 きずなのごはん 》( ともに青春出版社 )がある。
ーーー サンクチュアリ出版 ーーー
発 行/2015年1月1日 初版
/2015年6月16日 第5刷
( 累計5万4千部 )
発行所/サンクチュアリ出版