空海が造った山上の宗教都市/entry09

第9回目は寺院の御紹介です。

【一生に一度は行きたい 日本の古寺100選】🍀
 編集長 /山崎 准氏
 編集協力/株式会社 クリエイティブ・スイート
 執 筆 /佐藤 賢二氏・清塚 あきこ氏
     /菅野 秀晃氏

高野山 金剛峯寺(こんごうぶじ)
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奥の院に続く御廟橋(ごびょうばし)。その奥に弘法大師を祀る大師御廟があります。御廟橋の先は聖域とされ、写真撮影、飲食、喫煙も禁止です。

 標高約800メートル、117寺の寺院が集まる山上の宗教都市ともいえる高野山。その寺域は『一山境内地』といわれ、山全体が境内となっています。
 唐から戻った弘法大師こと空海が、真言密教の道場を開くべく、嵯峨天皇から高野山の地を与えられたのは816年です。翌年から伽藍の造営に取りかかるも、なかなか進まず、高野山第二世/真然大徳空海の入定後、およそ20年の歳月をかけて伽藍を整えました。
 現在の高野山内のひとつめの聖地は、『檀上伽藍』です。空海が、最初に伽藍を建てようとした場所で、本堂にあたる金堂や、空海が暮らしたという御影堂(みえどう)、鮮やかな朱塗りで知られる根本大塔(こんぽんだいとう)等、主要な建物が集まっていて、とくに根本大塔の初代のものは、真言密教のシンボルとして、空海と真然、2代にわたって造営されたものです。堂内には立体曼荼羅がつくられていました。現在のものは、1937年、空海の入定後1100年を記念して再建されたものです。
 山内で最も山深い位置にあるのが、『奥之院』で、檀上伽藍と並ぶ二大聖地です。一ノ橋を渡り、杉の古木が並ぶ参道を歩くと、空海が入定している御廟があります。参道には、歴史的な人物達の石搭が立ち並び、古より、多くの人々がこの地を訪れ、祈りを捧げたことを実感させられる静謐(せいひつ)な場所です。
 そして、高野山総本山にあたるのが、前出の金剛峯寺です。1593年に豊臣秀吉が亡母の菩提のために建立した青巖寺(せいがんじ)が元になっていて、明治元年金剛峯寺と改称しました。その後、1869年に隣接していた興山寺と合併し、全国の末寺を代表する総本山となりました。
 東西30間、南北35間というとてつもなく大きな本坊のほか、寺内の書院、茶室、美しいふすま絵もじっくり楽しみたいところです。国内最大の石庭/蟠龍庭(ばんりゅうてい)も必見です。また、真言宗における呼吸法・瞑想法の極意ともいえる阿字観体験も1日4回(約1時間、参加費1500円)行われており、予約なしで気軽に参加できます。

高野山金剛峯寺の正門
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修正会(しゅしょうえ)で無病息災を祈願
 全国3600ヵ寺に及ぶ高野山真言宗の総本山である金剛峯寺では、様々な行事が執り行われていて、1月1日~3日(金堂)、5日(根本大塔)の修正会の終盤は『牛玉杖(ごおうつえ)』で床を打ちながら一年の息災を祈念します。先着順に、参拝者へお守りと福杖を授与しています。

ごま豆腐
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 高野山のグルメといえば、ごま豆腐です。ごまの表皮を丁寧にむいて中身だけをすり潰して使うので、際立って白いのが特徴です🌞


 発 行/2017年8月5日   第1刷
    /2017年11月18日 第2刷
 発行所/株式会社 宝島社

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